Do Good To Become Good (Fr. Rossano Sala)
2022/07/15 | VIDES
VIDESの世界大会(2022年7月1日~5日)の間にて、7月2日にはRossano Sala神父の講演がありました。
Sala神父様は、シノドス担当顧問としても活躍しており、2018年の若者のシノドスでも、多くの活躍をされました。
VIDES JAPANからも、バチカンの青年司牧関連の委員会であるInternational Youth Advisory Bodyに所属しているメンバーがおり、2021年10月の「シノダリティ」に関するシノドスにも出席しています。
Sala神父様は、シノドスを始めとした教会全体の青年司牧に加え、Salesian Pontifical Universityで教職を取っていらっしゃる経歴があり、サレジオ会にも精通している方です。
彼のプレゼンテーションの中の言葉遣いは、サレジオ会の霊性、青年司牧を考える上で重要な点が多いため、重要なポイントをこの記事の整理ができればと思います。
Salesian Charisma
Sala神父は、使徒言行録10章38節(イエスは方々を巡り歩いて人々を助け、悪魔に苦しめられている人たちを全て癒されたのですが、それは神がご一緒だったからです)を取り上げて、私たちが持つcharisma(神からの贈り物)を生かすには、具体的な実践をしていくことの重要性を語っていました。
そして、既にVIDESは、それをa global citizen, builder of peace in contemporaneity(世界市民、現代の平和の構築者)として、実施をしていると主張していました。
こうしたCharismaが多く集まっている場所を、Sala神父様は「教会」と呼んでいます。
教会の解釈を、司教が集まる組織としてではなく、どんな人にでもあるCharismaを具現化する実践できる力のまとまりが、「教会」としている点は、とても現代的な教会論で、VIDESのような国際団体が教会でどのような立ち位置であるべきかを考える上で、とても重要な論理だと思います。
このカリスマが、ドンボスコを通じてサレジオ会の文脈で培われたのは、産業革命、イタリア統一などの政府不安の中でした。
18世紀後半の具体的な社会文脈の中で、司牧の実践を深めることで、Charismaを深め、最終的にサレジオ会という修道院を作ることで、Salesian Charismaとして定着させたということになります。
Apostolic Spirituality
Sala神父様が、このSalesian Charismaの具体例として挙げて下さったのが、ドンボスコとドメニコサビオのストーリーです。
ドメニコがドンボスコを訪れた際、単にバルドッコのオラトリオに受け入れただけではなく、その中庭の管理の責任者として任命しました。
こうして現場の現実を、子供たちに見せ、役割を与えることで、具体的な社会環境に送り出すことを、ドンボスコはいつも大事にしていたと、Sala神父は述べています。
こうした送り出され、自分Charismaを生かすことことを、使徒的な霊性(Apostolic Spirituality)と、Sala神父は表現しています。
VIDESは、SAD(Distance Support)や国内のMicroprojectなどを通して、こうした使徒的な霊性を、サレジオ会の文脈の中で引き継いでいると、Sala神父は表現しています。
国際ボランティアの根本的な考え方、教会論の中での捉え方は、上記のような形で、たしかに展開されるべきだと思います。
ボランティアとシノドスの考える青年司牧
Sala神父の下記の言葉を、まずそのまま引用させて頂きます。
“È un segno dei tempi quello del volontariato. Qualcosa che ci fa ben sperare per il presente e per il futuro. Al Sinodo sui giovani è stato molto ben sottolineato, sia nella fase di ascolto che in quella di sintesi. ”
(ボランティアは、時のしるしです。現在、そして未来に向けて、希望を与えてくれるものです。こうした事実は、若者のシノドスの中で、彼らに意見を聞く段階、それらの統合の段階で、特に具体的に強調されて見えてきたものです。)
Sala神父は、ボランティアの働きと教会が社会とともに進んでいくための「時のしるし」を繋げています。
ボランティアは、VIDESの法的立場のように、「第三の場所」であり、企業と個人の抱える課題の間に立ち、活動的に行動ができる立場の櫃等です。
シノドスでも、2021年は初めて20代~30代の青年が招かれました。
こうした教会の変化は、Sala神父様の言う「時のしるし」を教会がさらに慎重に見ていくためだったと思います。
そして何よりも、教会が人間の持つCharismaのまとまりであれば、それをより一層生かすためには、ボランティアの働きは必要です。
今回の公演のタイトルは、”Do Good to Become Good”(良くなるために、良いことをする)です。
活動をすることで、自分のCharismaが始めて生かされ、イエスが歩き回って人を癒した姿に近づくことができるのかもしれません。
※Rossano Sala神父様の講演の全文については、こちらからご覧ください。