VIDES- Un Progetto Per Giovani
2020/06/11 | VIDES
2020年、イタリアのヴェローナでVIDESの歴史について書かれた”VIDES- Un Progetto Per Giovani”が出版されました。この著書は、前VIDES InternationalのDelegataであるSr. Maria Grazie Caputoによるもので、1983年からのVIDESが誕生する前の歴史から、詳しく書かれています。
今回、この本の第一章である “La Storia Delle Origini”を、簡単に要約し、普段あまり情報がない「VIDES前史」の部分を共有させて頂ければと思います。すでに、現VIDES InternationalのDelegataで、2月に日本に来日した、Sr. Annecieから頂いた情報で、こちらからVIDESの歴史についてみて頂くことはできますが、それに加えて、参考にして頂ければと思います。
VIDES前史(1983年~86年)
VIDESの初代DelegataのSr. Maria Grazie Caputoによれば、1983年~1986年までを、VIDESの”la preistoria”(前史)としています。その「前史」が始まるのが、イタリア北部のトリエステです。(当時は、どこで主に活動をしていたかは、書かれていない。)ここには、CENTRO ITALIANO OPERE FEMMINILI SALESIANEという、女性教育の専門職が集まるサレジオ会の機関がありました。当時のイタリアの労働省と協働で、コンゴに対するボランティア活動を企画していました。その後、1986年、この専門機関の会議の主要なテーマとして、「女性のためのボランティア活動」が上がるようになり、VIDESという言葉が使用され始めます。
VIDESのボランティア形成期(1987年~1988年)
1987年、Sr. Maria Caputoは、VIDESのアイデアを持った状態で、その実行を移す場所を探します。最初の場所が、スペインのサンタ・クルス・デ・テネリフェとなり、ここでボーイスカウトとともに活動をします。彼女によれば、ここでスカウトと働いたことで、のちにVIDESのヨーロッパでの活動の主眼の一つとなる、市民活動がイメージできたとのことです。
1988年、スペインでの具体的な活動を終えたSr. Maria Caputoは、ローマで開催となった「イタリア管区間会議」(CII)において、VIDESの提案を実施しました。その後、多くの大学などの専門機関に対して、活動をする上で、助言などを求めました。さらに彼女は、ボランティア活動の正式認可のため、8月24日、モルネーゼを訪れ、ヨーロッパ中心の人々を中心とした活動が開始されます。最初のボランティアの場所は、ハイチ、ブラジル、コロンビアでした。
※1995年4月22日発行のVIDES NEWSによれば、1990年開催のローマ本部管区会議で、扶助者聖母会全体に対して、「国際ボランティアを通じての教育成果」が発表されています。
国際機関VIDESの誕生(1989年~1991年)
1989年~1991年、修道会で正式な活動となったVIDESは、国際機関の一部として、急激に成長を遂げます。1989年の段階では、Sr. Cauopoによると、ヨーロッパ全体での立場を固めるために、「研究」(studio)をしていました。(lo studio della proposta livello europeo e internazionale)
その際、Sr. Antonio Cholomboが大きなきっかけを作ったとのことでした。彼女は、当時のベルギーのフランス語共同体”Belgio francofono”に属しており、そこから国際連合の誕生国であるベルギーとの繋がりを作っていくことができました。また、Sr. Maria Caputoによれば、著書の中で、ベルギーが当時、ヨーロッパの中で、国際機関としての認可を受けるもっとも適切な国であったことに触れています。彼女は、同じく著書の中で、1989年のベルリンの壁の崩壊のことも触れており、当時のヨーロッパの政治的な不安定さも考慮した上での決断であったはずです。
ヨーロッパ情勢を鑑みながら、イタリア国内の支部の展開、ヨーロッパでの広がりを作った後、1991年、最終的にベルギーのブリュッセルにある、当時のEC(ヨーロッパ共同体)の本部から、承認を受け、国際団体として、認可を受けました。したがって、この1991年4月8日を、VIDESの誕生とするのが、妥当な解釈となると考えられます。
ヨーロッパでの拡大(1992年~)
その後、ポルトガル、フランス、スペインなど、多くのヨーロッパの国で、VIDESが展開を遂げていきます。その過程の中で、移民問題、貧困の課題と出会うこととなります。1994年には、クロアチア、スロベニアなどの東欧の政治的に不安定な国だった場所への展開、メキシコなどラテンアメリカでの展開が中心になります。
Giovani per i Giovani
そうした社会課題との出会いの中で、「多様性」、「移民」などのテーマに向き合うためのパートナーとして、若者が重要であることに注目します。また、その国独自の展開(livello locale)の重要性にも気づき、それぞれの国の若者が、若者のために働ける土台を作ることに力をいれるようになります。
VIDES JAPANの登場 (1994年)
そうした各国での独自の展開を活発化させるために、アジアでの展開が始まります。そのアジアの最初の国が、日本です。その日本について言及している部分について、以下で引用をしてみます。
La partecipazione al Convegno anima subito il belgio fiammingo a organizzarsi come gruppo VIDES e l’anno successiovo (1994) e il Giappone a iniziare un cammino di promozione del volontariato giovanile nel suo territorio.
(ベルギー及びフランス北東部で、開催された会議で、VIDES Groupとしての展開を決めた後、その翌年の1994年には、日本に行き、そこでは若者とともに、活動を展開していくための「旅」が、促進されていきました。)
また、この個所の注には、現在のVIDES JAPANのDelegataのSr. Paola InagawaとSr. Monica Takeishiの協力について述べられています。
1994年12月24日、VIDES JAPAN発行のVIDES NEWSによれば、1994年12月17日~18日において、第一回の集会が、赤羽修道院で開かれています。この情報とSr. Caputoの著書での日本に関する言及を合わせて考えることで、初期のVIDES JAPANが、既に本部に対して、存在感があったことが分かります。
以上のような日本での展開をきっかけに、VIDESの支部は、フィリピン、ベトナムなどに展開をしていきます。アジアが重要視された一つのきっかけは、国際連合主催で、中国において、1995年、世界女性会議が開かれたことも挙げられています。この際、VIDES JAPANからも参加者が出ており、その後の女性の人権、家族の援助などの活動の布石となっています。
※1994年~1998年のVIDES JAPANの歴史については、こちらで確認できます。また、それ以降についても、1999年~2003年、2004年~2008年、2009年~2014年、2015年~2020年を、それぞれのリンク先で、閲覧可能です。
国際機関VIDESの今
1998年、ローマにVIIDES Internationalの本部事務所が設置され、バチカンの近くにあるこの本部から、多くの情報が発信されています。現在は、42か国の国々で活動を展開しています。新Delegataとして就任したSr. Annecieは、2020年2月には、日本に来日しており、詳しい情報は、こちらもご覧ください。
ここまでの歴史を概観することで、VIDESのアイデンティティが分かります。多くの国際課題を背景にして、各国の状況に合わせた展開をし、若者との協働を通して、ドンボスコ、マリアマザレロの精神を体現しています。
以上でご説明した内容より先の、VIDESの展開については、こちらのリンクもご覧ください。
以上で、リンク先も含めて閲覧いただくことで、1983年~2020年のVIDES JAPANの展開までの歴史を、外観頂くことができます。ここまでまとめることで、VIDESが国際機関として、カトリック共同体に大きな影響を及ぼしてきたこと、またそれと同時に、国際連合の動きと並行して、国際社会への存在感を強く持っており、その流れに日本の支部も位置付けられていることが分かります。
内容をまとめる作業自体が、社会変革を起こすことができるとは、VIDES JAPANの広報担当は考えていません。しかし、この情報を多くの人に伝え、次の国際社会で何が必要になるかを考えて、行動することが、次の時代を作っていくことになると考えています。
これからも、どうぞよろしくお願いします。